会社と個人事業だと、どちらが有利なのでしょうか?
会社か個人事業かを決めるポイントとしては、
(1)法人設立時と設立後に係るコスト
(2)対外的な信用が必要かどうか
(3)設立後の損益はどれくらい見込めるのか
により判断する必要があります。
では、個人事業の場合と法人の場合の、メリット・デメリットについてそれぞれ確認していきましょう
まずは、個人事業主として独立した場合ですが、メリットとして考えられるのは、
(1)開業するときの手間や費用が安くすむこと
(2)独立後の手間も少なくてすむこと
などが考えられます。
個人事業で開業する場合、開業後1ヵ月以内に、所轄税務署へ個人事業の開業届出書を提出することになります。
したがって、いますぐにでも、気軽に事業を始めることができます。
また、役員会などを開く必要がなく、決算報告書の作成義務がないなど、かなり自由度の高い経営が可能となります。
一方、デメリットとしては
(1)会社組織に比べて信用度が低くなりがちである
(2)まとまった事業資金が集めづらい
などが考えられます。
個人事業の場合は、簡単に事業を始められる(資金面、手続面)だけに信用面に問題があるようです。
たとえば、株式会社などのような法人との取引をメインに考えられているようですと、個人事業主とは取引をしないといった企業もあります。
したがって、法人を相手にする商売なのか、個人顧客を相手に商売するのかによっても個人事業主にするか、会社組織にするかの判断基準になります。
次に法人組織を設立した場合ですが、メリットとしては、個人事業主に比べると比較的信用力は高くなります。
個人の場合は、その人の死をもって事業体が消滅いたしますが、会社(法人)では継続企業体が原則となっているからです。
デメリットとしては、定款作成、認証手続き、設立登記申請手続きなど、諸手続があることなどにより、すぐに事業を行えないことがあげられます。
先ほどの個人事業主のデメリットの箇所でも触れましたが、一定の自己資金をもつことにより信用力は比較的高く、法人相手との取引をメインに考えられている場合には、法人組織にすることも考えられるでしょう。
また、税金面でもそれぞれ特徴があります。
個人事業主で開業した場合には、儲けに対して累進課税と呼ばれる課税方法が適用されます。
累進課税というのは、儲けが多ければ多いほど高い税率が掛けられる仕組みで、多くの儲けが出れば出るほど高い税金を払わなければなりません。
一方、会社組織の場合には、儲けに対して一定の税率がかけられますので、儲けが多くなっても累進課税のように高い税金を払う必要がありません。
このため、比較的売上が低い創業当初は、個人事業で開業し、その後、売上が大きくなった段階で法人成り(個人事業から法人事業へ転換すること)するといったパターンも比較的多く見られます。
会社組織(法人)の場合は、健康保険・厚生年金保険は新規に適用されることが強制されます。
これに対して、サービス業など常時5人未満の従業員を使用している場合は、強制されることはありません。
社会保険料の負担についても検討することがポイントとなります。